物性理論全般に興味はるものの,電子系の輸送現象と光学応答を計算することになるでしょう.具体的には,グラフェン・カーボンナノチューブ系,スピン軌道相互作用の強い系,半導体励起子系,量子スピン系が対象となります.
電磁応答を計算する際には,不純物散乱や,格子振動による散乱も考慮する必要がある場合があります.場合によっては,電子間相互作用にまともに対峙しなくてはならなくなる場合もあるでしょう.
私自身は,長期的に取り組んでいるテーマは今のところ無く,常に,面白いテーマはないかと模索している状態です.そういう場合は,実験家の方々と議論してやるべきことを見出す事が多いです.
例えば,量子スピン系を光励起してスピン流を得るという野心的なテーマの相談を受けたものの,こういうことを考えればいいのでは?と言いながら一年放置してしまいました,
足立先生のグループで測定されている量子ドットの発光スペクトルの偏光依存性について,データからこのような項の存在が示唆されるので,このような機構を考えればそのデータを説明できるのでは?というところまで想定しながらも,そこでストップしてます.
戸田先生のグループで行われている,半導体励起子によるラゲールガウシアンビームによる四光波混合信号の話も,励起子状態をある表現方法で記述すれば,より実験をシンプルに説明できるのでは?というところまで考えが及びながらも何もしていません.
最近は,数理医学なる分野で協力を求められ,それは,可積分系の研究に携わる共同研究者からの話で,私にできることがあればと話を聞いているところです.
4年生はグラフェンナノリボンの電場変調光吸収スペクトルを計算しましたし,私自身はとあるスピン軌道相互作用が強い系の電気伝導や帯磁率の計算などに関わっています.太陽電池材料の光吸収に関する実験グループとの共同研究も実施しています.
このように,複数の研究テーマが進行中で,いくつかは手付かずで放置されている状態ですから,やることがないということはないでしょう.しかしながら,そうなっているのは,人手不足の中,簡単には手を付けられない,とも考えられます.
テーマ選択は重要度とどの程度の労力で実行可能かを同時に考慮しながら行う必要がありますが,学部生がそれを自分自身で決めるのは難しいようです.やることさえ決まっていれば,自分の能力に見合った時間をかければなんとかなるものですから,それなりの覚悟を持っていただければ,なんとかなると思います.希望があれば,ご相談ください.
過去の文章も残しておきます.
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