研究テーマの選択について


物性理論の考え方が通用する対象であればどんなことでも出来ると思います. ただし,私がおもしろいと感じられるテーマでなければ共同研究はできません(助言は出来ると思います).

研究は,なぜ?,という素朴な疑問から始まります.そこから,いかに疑問を解決するか戦略を練り,作業を遂行します. 理論研究ならば何らかの計算方法を思いついてそれを実行するということですが, 物性理論に少しでも関心がある人ならそれを楽しみながら進めることができるでしょう.

問題は壁に突き当たった時です.学生の方がつまづく障害の多くは教員・先輩に相談することで乗り越えることができます. 研究の場で知識の出し惜しみをするということは,少なくとも,同じ研究グループの内部ではありえません. 研究生活の中で,独習するには非常に長い年月を要するであろう,数多くの知識と技術を吸収できるはずです.

しかし,そのうち誰も安易な解決法を示唆してくれることもなく,答えが全く予測できない問題に遭遇します. まさにこの時こそが研究という仕事の本質的な部分を体験するということになるので喜ぶべきことなのですが, その解決は容易ではありません. 試行錯誤を繰り返す中,このテーマは面白くないと思えたり,誰かの命令でやらされている,と感じたら作業を続けることは困難になります.

4年生の場合どうしても知識が不足していますから,自分に何があっているのか選択に迷うのは当然です. それでも,何となく気が惹かれるという感覚が,後々,研究を続ける牽引力となり得ますので,自分なりに勉強して考えみてください. 大学院生ともなれば,卒業研究の経験がありますから,研究の「いろは」は理解していると期待しますので, テーマの選択にもう少し余裕があるでしょう.

競争が激しくなければ研究に締め切りはありませんけども,卒業・修了には期限があります. 特に,4年生は1年しか時間がありませんから,各人の適性を出来るだけ考慮して,早い段階でこちらから研究テーマを提案します. 準備が早くから出来るに越したことはありません. それでも,与えられたテーマが面白いと思えるかどうかは常に意識してください.

研究とは高度な知的活動のひとつですから,その面白さを理解するにはそれなりの知識が必要です. 研究テーマが決まれば,まずは,その知識を習得するために勉強することになります. これまでの蓄積が生かされる場合,あるいは,それが無いことに気がつく場合など,人それぞれですが, 目的が定まった時の勉強は非常に効率よく出来ますし,新しいことを知る作業は楽しいものです. 皆さんがそれぞれにあった研究テーマにめぐり合えることを望みます.



現在関心のあること


順不同に列挙します.一応注意しておきますが,理論的研究を行います. 特に希望が無ければこの中からテーマを選ぶことになると思いますが, 新しいテーマが不意にやってくることもありえます.

いまどき,キーワード検索で大抵のことの表層的知識は簡単に得ることが出来ます. 実際,このサイトへのアクセスログを見ると一番多いのは過去の卒業研究の解説ページです. 興味に従って検索サイトからここにアクセスしてきたのならマッチングはいいかもしれません.

  • カーボンナノチューブ系における量子輸送現象
  • カーボンナノチューブ系の格子振動
  • カーボンナノチューブ系の非線形光学応答
  • グラフェンシートにおける電気伝導
  • 半導体におけるスピンホール効果
  • 半導体励起子系のコヒーレント量子制御
  • 半導体励起子系の光励起高密度励起状態
  • 半導体励起子系の非線形光学効果
  • 光励起超音波による閉じ込め電子系の実空間イメージング
  • アト秒超短パルスの発生メカニズム