研究室インターンシップと配属に関わるQ&A

応用物理工学コースでは,研究室インターンシップと称して,3年生後期に研究室に一定期間所属することで研究室で何をやっているか雰囲気だけでも掴んでもらおうという試みを毎年実施しています. 百聞は一見に如かずというのは,まさにこういう事に使う言葉と学生は感じるだろうと思うものの,インターンシップの効用はあまり浸透していない気がします. 学生の立場になれば義務でもないことを背負い込むのは御免だという気持ちも分からないではないので,これを義務化するつもりはありません. しかし,理論研究を行うということがどういうことかはなかなか想像しづらいことも事実なので,研究室配属を考える方は教員と大学院生の双方に充分に話を聞き,その日常を知っておくことは大切だと思います.少しでもその気になればご相談下さい.質問があれば鈴浦までお尋ね下されば,お答えしますし,一般性の有る内容ならQ&Aに追加していきます.

Q&A

参考のため,以下に,研究室配属前の学生に尋ねられたことのある質問とそれに対する回答を列挙しておきます. 些細な疑問でも大抵の教員は真剣に答えてくれるものですが,学生にとっては聞きづらいようですし, 教員と接触する前に学生が知りたいと思う情報にはかなりの共通項がありますので役に立つかもしれないと考えてここに掲載します.

質問は随時受け付けています.遠慮なくお尋ねください. 率直にお答えしますが,1つの情報源のみから物事を判断するのは大変危険です. 必ず,研究室内外の学生や他の先生方からの情報収集を怠らず,多方面からの意見を参考にするよう心がけて下さい.

ただし,これらは鈴浦が個人的に受けた質問に対する鈴浦の個人的思想に基づく回答であり,研究室全体としての見解ではないことにご注意ください.


  • Q1:理論とはいったい何してるんですか?

A1:物理現象を法則にしたがって理論的に予言・説明することです.実験は行いませんが,計算機によるシミュレーションは多かれ少なかれ必要となります.


  • Q2:理論研究は難しいですか?

A2:研究を始める段階では学部レベルの物理・数学を理解していれば十分です.逆に,理解が不足している場合はハンディとなり得ます.


  • Q3:学部の授業ではどの科目が重要ですか?

A3:テーマによりますが,量子力学・統計力学・電磁気学が基礎となります.より専門的には固体物理学,半導体物理学,量子エレクトロニクスなどに興味が持てれば望ましいですけども,どちらかと言えば基礎科目の理解の方が重要です.


  • Q4:先生の授業がわかりやすかったので研究室を志望したいのですが?

A4:授業内容と研究に関連性があるとは限りませんが,話をわかりやすく感じたなら,動機としてはいいと思います.


  • Q5:先生の授業はさっぱりわからなかったのですが配属されてもやっていけますか?

A5:程度によりますが,ご遠慮いただいた方がお互いのためになると思います. 講義ノートの作成に際しては後から見ても理解し易いよう配慮しているつもりですからもう一度復習してみてください.


  • Q6:先生の授業で成績評価が・・・だったのですがどうでしょうか?

A6:成績は良いに越したことはありません.しかし,試験の成績だけでその内容への向き不向きを判断することはできません. 評価の際に理論的理解を重視してますからそのやり方に興味を持てたかどうかで判断するのがいいでしょう.


  • Q7:学生は賢い方がいいですか?

A7:理論研究で賢いことは大きな強みになりますが,研究は教科書的な勉強とは大きく異なる作業ですので,研究をするにあたり賢いことは必要条件でも十分条件でもありません. それに対して,忍耐力は欠かせません.粘り強く最後までやり通すことが大切です.賢さと粘り強さの両方をバランスよく持ち合わせているのが理想でしょうか.


  • Q8:数学が好きではないんですが大丈夫ですか?

A8:研究対象は物理ですから数学が好きである必要はありません.しかし,私の研究では数学を多用しますので好きでない人にはつらい作業になるかもしれません.


  • Q9:数学的なことをやりたいのですが?

A9:どのようなことを指して数学的と言っているのかによります.理論ですから数学は論理を表現する言語として必要不可欠ですが,研究対象はあくまで物理です. 例えば,過去に可解模型を扱ったことはありますが,それで意味の有る仕事をするには特殊能力が必要です.相談には乗ります.


  • Q10:解析的な計算だけでできる研究をしたいのですが?

A10:卒業論文としては難しいと思います.ただし,私自身はいわゆる計算物理を専門としているわけではありませんので,どのような研究を行うにしても,それなりの解析計算が必要になるという意味では,そのようなことを好む人は楽しめると思います. 逆に,数値計算をしただけで卒業論文になるということもないと思います.


  • Q11:・・・の研究をしたいのですが?

A11:自分のやりたいことが見えているのは素晴らしいことです.可能な限り尊重します. これといったものがなければ,具体的なテーマは,直感のみに頼らず時間をかけて下調べをして,十分に議論を重ねて決めた方が無難です.


  • Q12:過去の卒業研究の内容を見て自分にとてもこんなことができるとは思えないんですが?

A12:実際に先輩達が研究室で1年過ごした結果として得た成果ですから,そこから1年,あるいは,学部生活4年間にわたる努力の積み重ねを感じてください. 脱落した人は居ませんから,あなたにもできるはずです.飛躍的な成長を期待しています.


  • Q13:どれくらい拘束されますか?

A13:週に2回の定期報告と研究室セミナーへの出席を義務付けています.それ以外は特に拘束はしませんが,現実には,一定の時間を大学で過ごさねば研究は進みません.


  • Q14:放置されるのは困るのですが?

A14:何をすべきかは議論を重ねて適宜指示します.簡単なところで躓いていれば助けますし,難しいことに遭遇すれば一緒に悩みます.議論を重視しますので,それが可能な程度に大学で私と出会う確率が一定以上である必要があります.


  • Q15:どのような指導が受けられますか?

A15:私がこれまでに得た知識・経験をできる限り伝えたいと思います.ただし,学部3年までに習得しているべき,どのような教科書からでも得られるような,基礎的内容に関しては自習願います.


  • Q16:簡単に出来るテーマはありませんか?

A16:今のところありません.そんなテーマがあればあっという間に終わります.運がよければ,めぐり合える可能性はあるでしょう.


  • Q17:先生の指導は厳しいという噂ですが?

A17:どの点を指しているのかによりますが,学生は実際そう感じていると理解しています. 例えば,話に論理性を求めることについては厳格で,それに慣れるまでは厳しいと感じるかもしれません. しかし,論理を捨てたら物理としては成り立ちませんののでこの点は譲れません.