熱力学(2014年度)受講者のためのページ
更新情報
- 0604:中間試験採点結果公開.
- 0523:中間試験の案内,講義内容更新.
- 0516:講義内容更新.
- 0404:ページ公開.
中間試験の案内(0523)
以下の日程で中間試験を実施する.
5月30日(金)10:30−11:30
残りの時間で,解説を行う.出題範囲は第8回の講義内容までの範囲とする.特に,以下の内容について,予習してくること.
- 定積温度上昇ー断熱膨張ー定積温度降下ー断熱圧縮の状態変化で構成されるサイクル(オットーサイクルと呼ばれる)の熱効率
- クラウジウスの原理とトムソンの原理の等価性
- 3個の熱源と熱のやりとりを行いヒートポンプを実現する可逆サイクルにおける熱量の関係式.
- 温度と体積が異なる物質間の熱伝導によるエントロピー変化
- ファンデルワールス気体におけるエネルギーの体積依存性
今後,7月25日(金)に第9回から13回までの講義内容を出題範囲とした期末試験を行い,基本的に,中間試験との平均点により成績評価を行う.
中間・期末試験で成績が芳しくなかった場合は,8月1日(金)に,全範囲を出題範囲とする最終試験を実施するので,受験し合格すれば単位を与える.ただし,最終試験の成績のみでは,秀と優の評価は与えないので,GPAを気にする学生は,中間・期末試験で勝負すること.また,最終試験の受験資格は,中間試験と期末試験の両方,もしくは,どちらか一方を受験していることとする.
このページについて
このページは,熱力学における連絡事項の周知徹底と,使用する配布資料の公開を目的とする.
ファイルはPDF形式であり,ダウンロードにはユーザー名とパスワードによる認証が必要である.
配布資料
- 配布資料1:講義の進め方と成績評価について(0404)
各回の講義内容
- 第1回 (0404):熱平衡状態と熱力学量
1-1 導入:熱力学とは,目的
1-2 熱力学量:マクロな物理量,状態量
1-3 熱平衡状態
1-4 温度:温度計,セ氏温度
- 第2回 (0411):気体の状態方程式
2-1 ボイル・シャルルの法則
2-2 理想気体:独立変数,無限小変化
2-3 状態方程式:
2-4 不完全気体:ファンデルワールス方程式
- 第3回 (0418):熱・仕事・エネルギー
3-1 熱:熱容量
3-2 仕事:気体の受ける仕事,準静的変化,熱の仕事当量
3-3 第1法則:断熱変化,一般の状態変化,マイヤーの関係式
- 第4回 (0425):熱機関
4-1 蒸気機関
4-2 カルノーサイクル:等温変化,断熱変化,カルノーサイクルにおける熱と仕事
- 第5回 (0502):熱効率と絶対温度
5-1 カルノーサイクルの効率
5-2 トムソンの原理:最大効率
5-3 絶対温度
5-4 永久機関
- 第6回 (0509):熱力学の第2法則
6-1 不可逆変化:熱伝導,自由膨張
6-2 第2法則:クラウジウスの原理
6-3 クラウジウスの不等式:熱源がN個,温度の連続変化,サイクルの最大効率
- 第7回 (0516):エントロピー
7-1 可逆変化:エントロピーの定義,理想気体
7-2 不可逆変化:エントロピーによる第2法則の表現,熱伝導,自由膨張
- 第8回 (0523):熱力学関数
8-1 基本法則:第0,1,2,3法則,孤立系のエントロピー,断熱系のエネルギー,定圧系のエンタルピー
8-2 自由エネルギー:最大仕事の原理,ヘルムホルツの自由エネルギー,ギブスの自由エネルギー
8-3 マックスウェル関係式:2変数関数の解析性,エントロピーを含む量の別表現
8-4 熱力学的関係式:気体のエネルギーの体積依存性,定圧熱容量と定積熱容量の差
- 中間試験(0530):[試験問題]
得点範囲(下限) |
0 | 10 | 20 | 30 | 40 | 50 |
60 | 70 | 80 | 90 | 100 | 110 | 120 |
人数(全52人中) |
3 | 2 | 3 | 3 | 6 | 2 |
1 | 4 | 4 | 3 | 4 | 5 | 12 |
(配点=120:平均点=74.6:最高点=120)
コメント(htmlファイル:認証あり)
昨年度の試験問題
シラバス(北海道大学公式ページ)
-
シラバス検索
別ウインドウが開くので,課程区分を「学士課程」,教員名を「suzuura」あるいは「鈴浦」で検索を.
参考書
シラバスに示した参考書をここにも列挙しておく.これらの文献は講義計画に沿うものとして頻繁に参照していると理解いただいてよい
- ゼロからの熱力学と統計力学,和達三樹他著(岩波書店)
- キッテル熱物理学,山下次郎他訳(丸善)
- 熱学入門,藤原邦男他著(東大出版会)
- 熱現象30講,戸田盛和著(朝倉書店)
- フェルミ熱力学,加藤正昭訳(三省堂)
- Thermodynamics, Enrico Fermi(Dover)
最初の4つは,統計力学の内容も含んでいる.統計力学は,熱力学に微視的な説明を与えるひとつの学問であり,こちらを前提とすると理解しやすい事もあるし,むしろ,統計力学に頼らないと結果が得るのが難しい事もたくさんある.統計力学の基礎論は,現在も多くの研究者の取り組むホットな研究テーマであり,今後も,学部で提供される程度の講義内容が塗り替えられる可能性を秘めている.
応用物理工学コースでは,3年生の前期・後期で,統計力学について深く学ぶので,その導入としても役に立つことから,これらの書籍を購入しても,無駄になる事は無いと思う.
ただし,熱力学そのものは,統計力学を必要としないことに注意する.熱力学は,巨視的な物理系の性質を説明する強固な論理体系であり,熱平衡状態を記述する学問としては,今後,覆される事はないであろう.
フェルミ熱力学は古典的名著と言われている.しかし,告白すると,つい最近まで,私は読んだことがなかった.昨年度,熱力学の講義をしていることを研究者仲間に話をすると,あまりに多くの人がこの本を褒め称えるので,今回の講義ノートを作る前に読んでみたら,確かに,わかりやすい.
しかし,初学者にとってどうなのかは,今の私には判断できないので,これを教科書として講義をするのはやめておいた.この文献で扱う内容から外れることは,ほとんど,ないので,これをひと通り読んで,内容を理解できるなら,この講義を聞く必要はない.
最後の文献は,フェルミ熱力学の英語版である.比較的,低価格で英語で物理を学ぶいい機会である.研究を始めると,英語の文献を避けて通ることは出来ない.早い段階で,物理の基本用語ぐらいは,覚えておくことを,強く,推奨する.
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