統計力学IIおよび統計力学演習II(2014年度)受講者のためのページ
更新情報
配布資料
- 配布資料1:講義・演習の進め方とその評価(1007)
各回の講義内容と演習問題
演習は毎回テスト形式で行う.
答案の採点は数理物理工学研究室の大学院生(D2)である渡邉章友氏が行う.
- 第1回 (1007):統計力学の基礎:[演習問題]
1-1 統計力学とは?
1-2 気体分子運動論
シラバス(北海道大学公式ページ)
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シラバス検索
別ウインドウが開くので,課程区分を「学士課程」,教員名を「suzuura」あるいは「鈴浦」で検索を.
参考文献のリンクから北大図書館の蔵書検索の結果を見ることが出来る.全て図書館に有るらしい.
参考書
シラバスに示した参考書をここにも列挙しておく.
どれかに沿って講義を行うことはないが,自分にあった参考書をひとつ手元においてきちんと勉強してほしい.
- 岩波基礎物理シリーズ第7巻「統計力学」,長岡洋介(岩波書店)
- 統計力学,久保亮五著(共立出版)
- キッテル熱物理学,山下次郎他訳(丸善)
- 熱学入門,藤原邦男他著(東大出版会)
- 統計力学,土井正男著(朝倉書店)
- 統計力学を学ぶ人のために,芦田正巳著(オーム社)
- ゼロからの熱力学と統計力学,和達三樹他著(岩波書店)
最終的には非平衡統計力学の初歩にまで到達したい.非平衡の話は上述の文献では対応できない.
- 岩波基礎物理シリーズ第8巻「非平衡の統計力学」,北原和夫(岩波書店)
- 非平衡系の科学II:緩和過程の統計力学,北原和夫著(講談社サイエンティフィック)
- 非平衡系の統計力学,藤坂博一(産業図書)
- 非平衡系のダイナミクス,早川禮之助他著(培風館)
非平衡系を扱えるのは,せいぜい,2,3回なので,この講義だけのためにこれらの参考書を購入する必要はない.
非平衡・非線形というと難しいことをやっている印象を与えるようだが,平衡でない,線形でない,と言っているだけで,それだけでは何をやっているか不明であるので,そういうことをやっていると主張する話には注意が必要である,
混沌とした中に秩序だった何かを掴まなければ無意味なので,甘い話に騙されないように.
演習で出される問題を解く際も上記の参考書でほとんど対応できるはず.ただ,統計力学で学部生に計算できる範囲の問題は限られている.
それを考えると,それらに手っ取り早く取り組める演習書を購入するのもいいだろう.
- 大学演習 熱学統計力学,久保亮五編(裳華房)
- 演習 熱力学・統計力学,広池和夫他著(サイエンス社)
以上で取り上げたのは,どれも,かなり古い文献である.比較的,新しいものも紹介しておく.
統計力学 I, II,田崎晴明著(培風館)
こちらは統計力学を論理的な飛躍無くきちんと理解したい人向けである.この本を読んでいただければ私が講義をする必要はないぐらいだが,重要な部分を取り出すとしても,これを教科書として講義をするには私の能力が不足している.研究者を目指す人はチャレンジすることをお勧めする.
ゼロから学ぶ統計力学,加藤岳生著(講談社)
こちらは,私のよく知る方の著作で,初学者向けに非常にわかりやすく書かれていると思う.統計力学の初歩から理解したい人は手にとって損はしない.学生の頃は東京の有名進学塾の講師をされていて,その頃,養った教育力なんだろうと想像しているが,本人に聞いたわけではない.
量子統計力学―マクロな現象を量子力学から理解するために― ,石原 純夫・泉田 渉著(共立出版)
こちらも,研究者仲間で,石原さんは元同僚で,やはり,話がわかりやすい.そういう人でないと本は書けないということか.この講義と扱う内容が大きく重なる演習書なので,一見の価値あり.
新しいことを学ぶ際に,教員・教科書との相性というのは無視できない影響を及ぼす.
残念ながら教員は選べないので,手本とする教科書だけは自分にあったものを選んでいただきたい.
ひとつの教科書を選んだ後も,分からない部分に遭遇したらよく考えるのと同時に,必ず,別な文献を参照するよう心がけて欲しい.
思わず膝を打つような説明に出会えることも有るはずだ.
インターネットの検索エンジンは確かに便利だが,文章に込められた著者の思いは書籍の方が何倍も重いと思う.
物理を学ぶ者は,高度な知的活動に携わるものとしてその価値を見出し対価を支払うこと受け入れ,知識を蓄えた後,将来は知的生産活動に貢献して対価を受け取る立場になって欲しいと思う.
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