統計力学IIおよび統計力学演習II(2012年度)受講者のためのページ


更新情報


成績確定(20130131)

講義・演習の合格者リスト:[htmlファイル]

演習期末試験の案内

以下の日程で演習の期末試験を実施する.

1月29日(火)14:45−16:30 (4講目)

3講目の講義は休講とする.

試験範囲は第4回以降の演習問題と,講義の中間試験・期末試験で出題された内容. 特に,以下の内容について重点的に学習せよ.

資料の持ち込みは一切認めない. 全ての問題で,導出に関する詳細な説明は省略されており,また,昨年度のように定義と公式集は付けないので,基本事項は確実に覚えてくること. 50点以上が合格. 再試験は行わないので,問題をきちんと解き直し,内容を理解してくること.頑張ってください.

期末試験の案内

以下の日程で期末試験を実施する.

1月22日(火)13:00−14:30 (3講目)講義に対する期末試験
1月29日(火)14:45−16:30 (4講目)演習に対する期末試験

22日の4講目はテスト問題の解説を行う.29日の3講目は何も行わない.

講義に対する期末試験の出題範囲は,中間試験以降に講義・演習で扱った全ての内容. 相転移と臨界現象・非平衡統計力学の基礎に関して,以下の内容を十分に学習しておくこと.

偏りなく学習すること.13回の問題,得点分布,コメントはアップロード済みなので復習に必要ならダウンロードせよ. 資料の持ち込みは一切認めない. 講義の評価は,中間試験と期末試験の結果の平均点から決定する.50点以上が合格.

22日の試験で,合格に達しない場合は,29日の試験で合格点に達すれば,講義の成績を可とする.ただし,中間試験か期末試験を受験していることが条件である.29日の出題内容に関しては,22日以降にこのサイトで告知する.今のところ,講義の中間・期末試験の内容を中心に出題するつもりなので,期末試験の準備に全力を尽くすこと.健闘を祈る.


中間試験の案内

12月04日(火)13:00−14:30 (3講目)講義に対する中間試験

統計力学II(講義)に対する中間試験を上記の講義時間中に実施する. 続く演習は休講とし,試験問題の解説を行う.

出題範囲は第9回までの講義・演習で扱った範囲.量子理想気体に関する,以下の内容を学習しておくこと. 特に,上位6項目については漏れのないように.

資料の持ち込みは一切認めない.基本的な知識,例えば,自由エネルギーなどの熱力学量,カノニカル分布,グランドカノニカル分布,ボルツマンの原理,期待値,分散,ボーズ統計,フェルミ統計,ボルツマン分布関数,ボーズ分布関数,フェルミ分布関数,古典理想気体に対するエネルギー等分配則,状態密度,フェルミエネルギー,フェルミ温度,量子化された調和振動子のエネルギー,などは既知とする(要するに,これらの定義や結果は覚えなさいという意味).

このページについて

ここでは統計力学IIおよび統計力学演習IIで使用する配布資料を公開する.
ファイルはすべてPDF形式であり,ダウンロードにはユーザー名とパスワードによる認証が必要である.

配布資料


各回の講義内容と演習問題

演習は毎回テスト形式で行う. 答案の採点は数理物理工学研究室の大学院生(M2)である渡邉章友氏が行う.

シラバス(北海道大学公式ページ)


参考書

シラバスに示した参考書をここにも列挙しておく.これらの文献は講義計画に沿うものとして頻繁に参照していると理解いただいてよい
. 最初のものは統計力学Iで使用したもの. 今年度も5章までは履修済みであるが,理解しているかどうかは話は別である,と西口先生から伺った. Iでは主に古典統計力学を扱い,IIでは量子統計力学を扱う,というのが基本的な講義設計であるが,古典統計力学の理解が十分でないと,量子統計力学を学ぶ際に大きな障害となりうるのので,最初の4回を復習にあてる予定.

次の2つは古典的で私が学生の頃に参考書として挙げられたものだが,初学者にはやや難しいかもしれない. 最後の3つは比較的最近の教科書.

最終的には非平衡統計力学の初歩にまで到達したい.非平衡の話は上述の文献では対応できない.

非平衡系を扱えるのは,せいぜい,2,3回なので,この講義だけのためにこれらの参考書を購入する必要はない.しかし,その名称から推察できるが,平衡でないということしか言っていないので,実は,多くの研究対象が非平衡系である.外部からエネルギーや粒子を供給し続ける電気・熱などの輸送現象はもちろん,生命系も非平衡物理現象と捉えることができる. そのような興味深い現象には全く立ち入れないが,興味を持った者は,どんどん,学習を進めてもらいたい.

演習で出される問題を解く際も上記の参考書でほとんど対応できるはず.ただ,統計力学で学部生に計算できる範囲の問題は限られている. それを考えると,それらに手っ取り早く取り組める演習書を購入するのもいいだろう.

これらは,私が学生の頃から使っているもので,今でも手に入るはず. 特に,前者は英訳もなされるほど著名な本で,物性理論を専門とする研究者は一度は必ず手に取っていると思う. また,非平衡統計力学の内容も扱っている.

統計力学Iで教科書指定があったので,こちらでも同じものを指定しておいたが,それがどうしても必要という訳ではない.半年,それで学習したんだから,色々と探してみて,今回は自分の考え方と相性のいいものを選ぶのが良いと思う. 物理は答えが1つなのだからどれか1つのやり方を,極端な話,丸暗記すれば良いという考え方もあろう. しかし,我々が学んでもらいたいのは結果に至るプロセスである. 普遍性が高い現象ほど出発点が同じならどういう道筋を経ても同じ結論に到達するもので,つまり,理解の仕方は多種多様である.

様々な理解の仕方に納得できれば理想だが,まずは,自分に合ったものを探すのが勉強の第一歩と思って欲しい. この講義は,専門書が読みこなせるための導入のつもりで行うので,自分の購入した本と見比べながら勉強を進めてもらえたらいいのではないか.

物性理論研究者の端くれとして,将来,理論研究に取り組みたいと考える学生のために,文献を一つ追加したい.

統計力学 I, II(培風館、新物理学シリーズ

詳しくはリンク先を見てもらうとして,内容の説明・式の導出が非常に丁寧であり,私が講義で話をしたい内容のほとんど全てがこの本に含まれていると言っても過言ではない. 特に,IIに含まれる内容は,この講義で提供する予定の内容と大きく重なっているが,これを教科書として半年で講義するには,私の能力が不足している. 著者の田崎晴明氏は量子スピン系,遍歴電子系の強磁性に関する数理的に厳密な解析に関する業績により知られている,世界で通用する日本人物性理論研究者のうちの一人であり, まさに専門家として統計力学を語るにふさわしい.

注釈の多い文章は読みづらい部分も無いわけでもないが,数学的な厳密さを追うだけではなく,統計力学のココロのようなものを伝えようと工夫がなされ, また,数理物理的研究がどのようになされるかという雰囲気まで垣間見えるようなところもある. 少なくとも,理論研究を志す者は一度は目を通す価値が有ると思うし,自分が学生の頃,このような本があったらよかったと思う.

ただし,上でも述べたが,これが万人に通用するとは限らない. 新しいことを学ぶ際に,教員・教科書との相性というのは無視できない影響を及ぼす. 残念ながら教員は選べないので,手本とする教科書だけは自分にあったものを選んでいただきたい. ひとつの教科書を選んだ後も,分からない部分に遭遇したらよく考えるのと同時に,必ず,別な文献を参照するよう心がけて欲しい. 思わず膝を打つような説明に出会えることも有るはずだ.

インターネットの検索エンジンは確かに便利だが,文章に込められた著者の思いは書籍の方が何倍も重いと思う. 物理を学ぶ者は,高度な知的活動に携わるものとしてその価値を見出し対価を支払うこと受け入れ,知識を蓄えた後,将来は知的生産活動に貢献して対価を受け取る立場になって欲しいと思う.


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