統計力学Iおよび統計力学演習I(2009年度)受講者のためのページ


更新情報


評価を確定しました

2009年8月20日現在

期末試験の案内

7月21日(火)14:45−16:15(4限)講義に対する期末試験
8月04日(火)14:45−16:15(4限)演習に対する期末試験

統計力学I(講義,演習)に対する期末試験を上記の講義時間中に行う. 演習は7月14日で終了とする.7月28日は21日に実施する期末試験の問題の解説を行い,質問を受け付け,講義全体の補足説明を行う.

講義に対する期末試験(7/21実施)の出題範囲は第10回以降に講義・演習で扱った範囲.特に,以下の内容を復習しておくこと.

講義ノート・演習問題で扱った内容をしっかりと復習すること.

演習に対する期末試験(8/4実施)は全範囲から出題する. 予告どおり,演習の評価は(出席点20%+毎回の平均点80%)と(出席点20%+毎回の平均点40%+演習の期末試験40%)の良い点を採用する. 従って,通常点で満足できる者は期末試験を受験する必要はない.

また,講義の評価は(中間試験50%+期末試験50%)で行い,7月28日までにその時点での合格者リストを公開する. 合格に満たない者でも,演習の期末試験の結果が一定以上の基準を満たせば合格とする.ただし,その対象となるのは講義に対する中間試験か期末試験,あるいは,その両方を受験している者に限る.

採点が済み次第,全ての合格者リストを公開する.各個人の評価は成績表で確認せよ.


中間試験の案内

6月16日(火)14:45−16:15(4限)講義に対する中間試験

統計力学I(講義)に対する中間試験を上記の講義時間中に行う. 続く演習の時間に試験問題の解説を行い,通常の演習は行わないので,演習のみを受講している学生は4,5限とも出席する必要は無い. ただし,講義のみを受講している場合でも,演習問題に目を通しておくことを強く推奨する.

出題範囲は第8回までの講義・演習で扱った範囲.特に,以下の内容を復習しておくこと.

講義ノート・演習問題で扱った内容をしっかりと復習すること. 通常の演習問題のような丁寧な誘導は付けないので, 何を仮定して出発しどういう論理展開で結論を導くのかを一つ一つ確認しながら学習せよ.

このページについて

ここでは統計力学Iおよび統計力学演習Iで使用する配布資料を公開する.
ファイルはすべてPDF形式であり,ダウンロードにはユーザー名とパスワードによる認証が必要である.

配布資料


各回の講義内容と演習問題

演習問題は毎回テスト形式で行う. 答案の採点は数理物理工学研究室の大学院生(D1)である小野頌太氏が行う.

シラバス(北海道大学公式ページ)


参考書

シラバスに示した参考書をここにも列挙しておく. 上記のリストにある文献は講義計画に沿うものとして頻繁に参照していると理解いただいてよい. 順番は特に意味は無い.最初の3つは古典的で私が学生の頃に参考書として挙げられたものだが, 初学者にはやや難しいかもしれない.

ちなみに,統計力学IIでは以下の文献を教科書として使用する.

ひとつの教科書で済ませたいという人はこちらを購入すると良い. 同じような話を2回聞いても無駄と考えるので,私は,なるべく参照しないようにしている. IIを担当する水野先生と相談して,Iでは統計力学の基礎の部分と,その応用として理想気体・磁性体を主に取り扱い, IIでは様々な物理現象に対して統計力学を如何に応用するかという所に力点を置くことになっている.

演習で出される問題を解く際も上記の参考書でほとんど対応できるはず.ただ,統計力学で学部生に計算できる範囲の問題は限られている. それを考えると,それらに手っ取り早く取り組める演習書を購入するのもいいだろう.

これらは,私が学生の頃から使っているもので,今でも手に入るはず. 特に,前者は英訳もなされるほど著名な本で,物性理論を専門とする研究者は一度は必ず手に取っていると思う.

教科書を1つ指定して欲しいという意見は毎年出るのだが,昨年度と同様,あえて尋ねられたら上記に挙げた参考書の中から選びなさいと言う. 物理は答えが1つなのだからどれか1つのやり方を,極端な話,丸暗記すれば良いという考え方もあろう. しかし,我々が学んでもらいたいのは結果に至るプロセスである. 普遍性が高い現象ほど出発点が同じならどういう道筋を経ても同じ結論に到達するもので,つまり,理解の仕方は多種多様である.

様々な理解の仕方に納得できれば理想だが,まずは,自分に合ったものを探すのが勉強の第一歩と思って欲しい. この講義は,専門書が読みこなせるための導入のつもりで行うので,自分の購入した本と見比べながら勉強を進めてもらえたらいいのではないか.

以上は2008年までの文章で,その内容に特に変更はないが,文献を一つ追加したい.

統計力学 I, II(培風館、新物理学シリーズ

詳しくはリンク先を見てもらうとして,内容の説明・式の導出が非常に丁寧であり,私が講義で話す内容のほとんど全てがこの本に含まれていると言っても過言ではない. 残念ながら,内容を厳選したとしてもこの教科書で量子統計までを教える技量を私は持ち合わせていない. この内容の密度では上巻の半分でさえ到達することは難しいだろう. 著者の田崎晴明氏は量子スピン系,遍歴電子系の強磁性に関する数理的に厳密な解析に関する業績により知られている,世界で通用する日本人物性理論研究者のうちの一人であり, まさに専門家として統計力学を語るにふさわしい.

注釈の多い文章は読みづらい部分も無いわけでもないが,数学的な厳密さを追うだけではなく,統計力学のココロのようなものを伝えようと工夫がなされ, また,数理物理的研究がどのようになされるかという雰囲気まで垣間見えるようなところもある. 少なくとも,理論研究を志す者は一度は目を通す価値が有ると思うし,自分が学生の頃,このような本があったらよかったと思う.

ただし,上でも述べたが,これが万人に通用するとは限らない. 新しいことを学ぶ際に,教員・教科書との相性というのは無視できない影響を及ぼす. 残念ながら教員は選べないので,手本とする教科書だけは自分にあったものを選んでいただきたい. ひとつの教科書を選んだ後も,分からない部分に遭遇したらよく考えるのと同時に,必ず,別な文献を参照するよう心がけて欲しい. 思わず膝を打つような説明に出会えることも有るはずだ.

インターネットの検索エンジンは確かに便利だが,文章に込められた著者の思いは書籍の方が何倍も重いと思う. 物理を学ぶ者は,高度な知的活動に携わるものとしてその価値を見出し対価を支払うこと受け入れ,知識を蓄えた後,将来は知的生産活動に貢献して対価を受け取る立場になって欲しいと思う.


統計力学Iおよび統計力学演習I(2009年度)受講者のためのページ